50a50ca5.jpg映画中、メリーの生活を支援していたゲイ歌手・元次郎氏(実は影の主役)が「マイ・ウエイ」を歌うシーンがよくでてきまして、それがやけに印象的だったのです。日本語歌詞なんかベタだしとにかくダサい図なんだけど、この曲を歌い続ける意味や必然があったでしょうし、彼の生き様が強くにじみでていた。せつせつと歌う姿にじんわりと心を動かされてしまいました(そもそもこの曲はそう機能するために歌い継がれてきたのでしょうが)。
監督は撮影当時なんと20代。舞台のヨコハマはなじみの地域であり、街の移り変わりや老いゆく人物を、地元民ならではの温く、かつあっけらかんとした視点で映像化しています。ところがラストで戸惑いに近い驚き。そして僕に別の感情をもたらしました。この映画にある種の先入観やイメージを抱く観客を、挑発的に射抜く仕掛けが組まれています。いやー仕掛けなんかじゃないかもしれないな。ただドキュメントに潜んでいる鋭さを示していることは確かです、きっと。何を言っとるんだい、あんた。って感じですね。うーん。とにかく見終わってからじわじわくる映画はいいものです。
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